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1996 年度 実績報告書

消化管腫瘍における細胞周期制御遺伝子の発現に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 07457273
研究種目

基盤研究(B)

研究機関大阪大学

研究代表者

門田 卓士  大阪大学, 医学部, 講師 (20174477)

研究分担者 大西 直  大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
関本 貢嗣  大阪大学, 医学部, 助手 (10273658)
冨田 尚裕  大阪大学, 医学部, 助手 (00252643)
キーワードgastric cancer / colorectal adenoma / colorectal cancer / p53, / p21, / p16, / CDK2, / CDK4
研究概要

胃正常粘膜・化生腸上皮・癌組織を対象とし、p53,p21およびp16の発現を免疫組織染色およびWestern blottingで調べた。正常粘膜および化生腸上皮の免疫染色では、p21は腺頚部細胞のごく一部に、p16は腺管底部から頚部にかけての細胞に散在性に検出された。p53は正常粘膜・化生腸上皮いずれにおいても検出されなかった。一方、癌組織では、p53は50例中19例(38%)で異常蓄積を認めた。p21は10例(20%)で検出され、とくに高・中分化型腺癌において発現頻度が高い傾向を認めた。また、p21陽性例中p53陽性例は2例のみであった。p16は30例(60%)の癌組織で過剰発現を認めた。Western blottingでも免疫染色と同様の結果が得られた。以上の結果より、p21の発現はp53の異常蓄積と逆相関する傾向がみとめられたが、両者を同時発現する2例ではp53-independentなp21の誘導が示唆された。また、p16の過剰発現を示した6割の症例では、細胞周期の制御異常を反映してp16が発現誘導されていることが考えられた。次に、大腸発癌過程adenoma-carcinoma sequenceにおけるCDK2およびCDK4の発現をWestern blottingで半定量的に調べる目的で、ホルマリン固定パラフィン切片からの蛋白抽出法を新たに開発した。18個の腺腫内癌の隣接正常粘膜・腺腫部分・癌巣を別々に切り出し、おのおのの微小パラフィン切片を2%SDS含有RIPA bufferで高温下に蛋白を抽出した後、Western blottingさらにdensitometryを用いて発現量を比較した。その結果、正常粘膜・腺腫部分・癌巣で、CDK2,CDK4の段階的な発現量の増加を認めた。正常粘膜に比べ腺腫部分ではCDK2は平均1.83倍、CDK4は平均1.73倍、さらに癌巣ではCDK2は平均2.34倍、CDK4は平均2.44倍の発現増加を示した。一方、前年度の報告で示したように、癌巣を伴わない腺腫では、正常粘膜に比べCDK2は1.24倍、CDK4は1.17倍と正常粘膜とほぼ同等の発現量であった。以上の結果から、腺腫内癌の腺腫部分は、癌巣を伴わない腺腫に比べてより癌に近い増殖特性を持っており、細胞周期制御破綻の前段階にあることが考えられた。さらに、免疫染色では約6割の腺腫内癌の癌巣でp53の異常蓄積が認められており、この細胞周期のブレーキ系の破綻が、CDKsの過剰発現した腺腫細胞に決定的なダメ-ジを与えることにより癌化することが推測された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 門田卓士: "RB遺伝子-特集:分子消化器病学" 日本臨床. 54(4). 75-81 (1996)

  • [文献書誌] 池田公正: "大腸癌におけるcyclin D,CDK4,CDK4inhibitor(p16)の発現-特集:分子消化器病学" 日本臨床. 54(4). 165-169 (1996)

  • [文献書誌] 門田卓士: "OK-432+Fibrinogenの注入療法とその生物学的Rationale-特集:癌と凝固・線溶" Biotherapy. 10(8). 1075-1081 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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