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1997 年度 実績報告書

消化管腫瘍における細胞周期制御遺伝子の発現に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 07457273
研究機関大阪大学

研究代表者

冨田 尚裕  大阪大学, 医学部, 助手 (00252643)

研究分担者 関本 貢嗣  大阪大学, 医学部, 助手 (10273658)
キーワード大腸癌 / 大腸腺種 / adenoma carcinoma sequence / 細胞周期 / cyclin D / CDK4 / CDK4 inhibitor(p16) / 免疫組織化学
研究概要

正常大腸粘膜,過形成,腺種,腺種内癌および進行癌を対象に,cyclin D/CDK4とCDK4 inhibitor(p16)の発現を免疫組織化学およびWestern blottingにて検討した。
まず正常粘膜においてcyclin Dの発現は腺管基底部の細胞にもっとも多く,腺管上部に向かうにしたがって減弱し,検出範囲は腺管下部1/3であった。一方,CDK4およびp16の発現は腺管基底部に限局したごく少数の細胞にのみ強く検出された。過形成粘膜において,cyclin Dは腺管基底部から上部にいたる多数の細胞に検出されたが,CDK4とp16の発現様式は正常粘膜と同様であった。腺種においては,cyclin Dは66例中55例(83%)と高率に過剰発現していたが,CDK4の過剰発現は全く認められず,またp16の過剰発現も52例中5例(10%)と低率であった。cyclin Dの発現と腺種の異型度との相関は認めなかった。腺種中に微小な癌が存在する腺種内癌症例の癌部分において,cyclin Dは8例中8例(100%)と高率に過剰発現していた。CDK4の過剰発現は全く認めなかったが,腺種と異なる点はp16の過剰発現で,14例中10例(71%)に認められた。進行大腸癌においては,cyclin D,CDK4,p16はそれぞれ45例中26例(58%),45例中39例(87%),60例中59例(98%)に過剰発現を認めた。Western blottingによる定量的な解析から,正常粘膜に比し癌組織において,cyclin D1は18例中15例(83%)で平均4.61倍,cyclin D2は18例中9例(50%)で平均3.30倍,CDK4は13例中11例(85%)で平均1.65倍,p16は13例中13例(100%)で平均8.03倍の過剰発現が確認された。また,連続切片を用いた免疫染色の比較から,CDK4を強発現する癌細胞は同時にp16も強発現していることが明らかとなった。
以上から,大腸のadenoma-carcinoma sequenceの各段階において,G1 cyclin/CDK,CDK inhibitorなどの細胞周期制御因子の過剰発現が関与していることが示唆された。

研究成果

(5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Ohue,M.: "Mutations of the tranforming growth factor β type II receptor gene and microsatellite instability in gastric cancer." Int.J.Cancer. 68. 203-206 (1996)

  • [文献書誌] Ohnishi,T.: "A detailed analysis of the role of K-ras gene mutation in the progression of colorectal adenoma." British.J.Cancer. 75(3). 341-347 (1997)

  • [文献書誌] Ikeda,K.: "Extraction and analysis of diagnostically useful proteins from formalin-fixed,paraffin-embedded tissue sections." J.Histochem Cytochem.46(3). 397-403 (1998)

  • [文献書誌] 冨田尚裕: "分子病理学的観点からみた問題点と展望" 日本外科学会雑誌. 98(3). 366-372 (1997)

  • [文献書誌] 門田卓士: "G1サイクリンおよびCDKの発現異常" 細胞. 29(7). 254-259 (1997)

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公開日: 1999-03-14   更新日: 2016-04-21  

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