研究概要 |
1.染色体不安定性試験(マイクロサテライト法) 肝細胞癌切除10例で癌部および非癌部よりDNAを抽出し17番染色体のCA繰返しを含むマイクロサテライト多型をTP53をプライマーとしてPCR(Polymerase chain reaction)を行い、そのPCR産物を一本鎖に熱変性後電気泳動を行い、泳動パターンを比較した。肝細胞癌では17番染色体にLOH (Loss of heterozygocity)および染色体不安定性は認められなかった。更に2番染色体および3番染色体でもD2S123/D2S136,D3S1064をプライマーとしてPCRを行い検討したが、LOHも染色体不安定性も認められなかった。10例中3例がHBs抗原陽性、7例がHCV抗体陽性例であったが、ともに染色体不安定性はみられずB型およびC型ウイルスによる肝発癌に染色体不安定性は関与していないものと思われた。大腸癌などでは、多発癌で高率に染色体安定性が認められている。そこで、肝細胞癌では多中心性発生例で検討を行いたい。 X遺伝子 HBs抗原陽性肝細胞癌切除例・20例のパラフィン切片で抗HBx抗体を用いてABC法にて免疫組織学的染色を行った。癌部、非癌部ともにX遺伝子の発現は認められなかった。パラフィン切片を用いたため発現が認められなかった可能性があるので、凍結標本を用いて検討を行いたい。
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