研究概要 |
1.膵管胆道合流異常症の頻度 新潟地方の胆嚢摘出術施行患者の胆嚢胆汁中アミラーゼ活性高値例(10,000IU/L以上)は、胆道系に閉塞部位がないことが確認できる305例中7例2.9%で内3例に合流異常症が確認された。胆嚢癌8例中では1例(12.5%、合流異常症確認)の合併率であった。ERCP施行例中の合流異常症例は63例2.7%で、胆嚢癌59例中では6例10.2%であった。以上より新潟地方に膵管胆道異常症の頻度が他地方に比し非常に高い可能性は少ないと考えられる。 2.胆汁脂質分析 総胆汁酸、コレステロール、燐脂質ともにコレステロール結石症例で低濃度であり、前回篠川の結果と一致した。胆汁酸分画についても従来の報告と同様、一次・二次胆汁酸比、遊離リトコール酸濃度ともに上昇を認めなかった。 遊離脂肪酸濃度:人胆汁中の主成分であるパルミチン酸(C16)、リノール酸(C18-2)、オレイン酸(C18-1)、ステアリン酸(C18-0)を測定し、コレステロール結石例で低い傾向であった(1.2mg/ml vs 1.4mg/ml対照)。日本人の標準値とほぼ一致したが、胆嚢癌の症例で異常に脂肪酸濃度の低い例があり、今後の検討対象である。
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