研究課題/領域番号 |
07457282
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
藤元 治朗 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (90199373)
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研究分担者 |
島 知子 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (10172868)
田中 恒雄 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (80248137)
豊坂 昭弘 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (20068498)
岡本 英三 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50068425)
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キーワード | HVJリポゾーム / AFP / HS-TK / 肝硬変 / HGF |
研究概要 |
肝癌は、手術手技の発達した今日においても、再発を繰り返す難治患者である。このような従来の治療法では治癒困難な肝癌を想定し、HS-TK(単純ヘルペスチミジンキナーゼ)遺伝子を用いた遺伝子治療、ならびに肝硬変に対しHGF(肝細胞増殖因子)を用いた遺伝子治療の研究を行った。まずHemagglutinating Virus of Japan(HVJ)の膜融合能を利用したHVJ-liposomeを作製し、成熟ラット生体肝へ情報遺伝子を導入し、安全かつ効果的なin vivoにおける遺伝子導入法確立の基礎的研究を行った。HVJ-liposome法により導入される外来遺伝子は宿主DNAに組み込まれないため、その発現は通常一過性であるが、反復遺伝子導入および導入前の部分肝切除付加を行い、ラット肝細胞での発現期間の長期延長を試みた。併せて反復導入後のHVJ抗体価、HVJ特異的細胞障害性Tリンパ球(CTL)誘導の有無を検討し、HVJ-liposomeの免疫原性が極めて低い事を証明した。また、肝癌担癌モデルに対して、アルファ胎児性蛋白(AFP)産生細胞において特異的に発現するAFPプロモーターの下流にHS-TK遺伝子を組み込んだAFP-HSTKベクターをHVJ-liposomeにて導入し、肝癌特異的な抗腫瘍効果による腫瘍の増殖抑制を認めた。 肝硬変に対する新しい治療の研究として、肝の有力な再生因子として知られる肝細胞増殖因子(HGF)をHVJ-liposome法を用いて、ラット肝硬変モデルに導入し、肝硬変への治療、及び肝切除術術後早期の肝不全に対する遺伝子治療を施行し有益な結果を得た。 本研究により、動物モデルを用いて生体への遺伝子導入を確立すると共に、肝癌、肝硬変などの難治性肝疾患に対する新しい治療法としての遺伝子治療の可能性を示した。
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