研究概要 |
in situ PCR法による癌関連遺伝子の検出に関しては,全世界的にみても,未だ一つの満足できる報告もなく,その実験条件は未知である.そこで,本年はK-ras遺伝子第12コドンの点突然変異(GGT→TGT)を標的として,in situ PCR法による検出条件の確立を行った.まず,当該点突然変異を有する遺伝子のみを特異的に増幅するプライマーを選択するために,20種のプライマーを設計し,それを様々に組み合わせてPCRを行った.その結果,変異特異的な1組のプライマーを見いだし,そのPCRの条件を確立下.続いて,当該点突然変異を有する細胞株と,有しない細胞株を用いて,細胞浮遊液中でのin situ PCR法を試みた.固定法及び後固定法(中性ホルマリン,パラホルムアルデヒド,エタノール,グルタールアルデヒドなど),前処置法(プロテイナーゼK,ペプシン,塩酸,無処理など),PCRの条件(PCRのサイクル数,アニーリング温度,バッフア-の組成など),in situ hybridizationの条件(hybridizationの温度,洗いの条件など),染色条件(反応時間,抗体の濃度など)などを種々検討し,当該点突然変異を有する細胞株のみを特異的に検出する条件を確立した.さらに,in situ PCR法の直接法を間接法を比較し,間接法が特異性において優れていることを証明した.現在,この結果を,他の遺伝子の検出,およびホルマリン固定パラフィン包埋切片での検出に応用すべく研究中である.
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