研究課題
一般研究(B)
雑種成犬12頭(体重10.0〜19.5kg)を用いて基礎的実験を行った。実験は全身麻酔、左開胸下に行った。左冠状動脈前下行枝を二段階結紮することにより左前下行枝支配領域に虚血を作成し、次の3種類の方法でbasic Fibroblast Growth Factor(bFGF)を左心室心筋に局所投与した。12頭中2頭が1週間以内に死亡した。一週間以上の生存が得られた10頭を対象として、心筋虚血の有無、血管新生の有無を病理組織学的または冠状動脈造影検査を行って検討した。実験1)雑種成犬3頭:bFGF 10μgを2ccの生理食塩水に溶解し、虚血心筋の心外膜下の数カ所に注射器を用いて局所投与を行った。4週間後に犠牲死させ、摘出心の病理組織学的検討を行った。実験2)雑種成犬4頭:bFGF10μgを2ccの生体糊に溶解し、虚血心筋の心外膜上に塗布、留置し、4週間後に犠牲死させ、摘出心の病理組織学的検討をおこなった。なお4頭中1頭では心外膜を剥離し、生体糊が心筋に直接接触するように行った。実験3)雑種成犬3頭:bFGF10μgを0.5ccの生理食塩水に溶解し、虚血心筋の心外膜下の数カ所に注射器を用いて局所投与を行った。2週間後に犠牲死させ、摘出心の冠状動脈造影を行い、血管新生の有無を検討した。結果:現在までの実験では組織学的に小血管の存在と、造影上の側副血行の存在は認められたが、明らかな血管新生の所見は得られていない。現在、bFGFの有効な投与法を検討中である。
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