昨年度の研究結果を踏まえ、雑種成犬3頭、日本猿2頭を用いて実験を行った。昨年度の実験ではbFGF 10μgの局所投与では十分な血管新生効果が得られないことが判明したため。今年度の実験ではbFGF 300μgの局所当初による血管新生効果を検討した。 実験1) 雑種成犬3頭を用い、全身麻酔、左開胸下に左前下行枝の中間部を2段階結紮し、急性心筋虚血を作製した。bFGF 300μgを硫酸ヘパリン10mgに溶解したものを、虚血心筋内に局所投与した。3週間後に犠牲死させ、摘出心の冠上動脈造影および組織学的検討を行い、虚血心筋の血管新生を検討した。 結果1) 組織学的に小血管の存在、造影上わずかな側副血行の存在は認められたが、明らかな血管新生効果は認められなかった。 以上の実験1の結果はbFGFの効果に種差があるためではないかと考えられた。我々が用いているbFGFは遺伝子組み換え型ヒトbFGFであるため、ヒトと遺伝子上近いと考えられる日本猿を用いて実験2を行った。 実験2) 日本猿2頭を用い、実験1と同様の方法でbFGFを虚血心筋内局所投与を行い、血管新生効果を検討した。 結果2) 摘出心の血管造影では明らかな血管新生は認められなかった。現在、組織学的検討を行っている。
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