研究概要 |
DMEM,10%DMSO,20%FCS,0.1M trehaloseを含む新しい気管冷凍保存液:trehalose-cryopreservation液(TC液)を開発し、1ヶ月の冷凍気管保存が可能なことを明らかにした。さらに、平均9ヶ月の気管冷凍保存を行うことにより免疫抑制剤を使用しない犬同種気管移植が可能となることも証明した。平成8年度は気管の凍結保存による組織変化、抗原性の変化を検討した。 目的:凍結時間、凍結温度による犬気管の組織変化、抗原性を検討する。 対象と方法:ビ-グル犬より1ringの気管を摘出し以下の条件で検討した。 Group1:TC液により-85℃、1週間凍結保存 Group2:TC液により-85℃、2ヶ月凍結保存 Group3:TC液により-20℃、1週間凍結保存 Group4:TC液により-20℃、2ヶ月凍結保存 Group5:対照(新鮮気管) 染色方法 HE染色、MHC-DR染色 結果 HE染色:Group1-4とも気管上皮、軟骨細胞に変化を認めなかった。 MHC-DR:Group1-4ともに気管上皮に強い染色を認めた。 考察 -20℃であれ-85℃であれ、2ヶ月の気管保存は可能であった。抗原性の減弱の指標となるMHC-DRの染色性は2ヶ月では変化がなく、2ヶ月の冷凍保存では抗原性を除去できないことが証明された。以前の実験より9ヶ月の凍結により抗原性が除去されることが明らかにされている。今後は、抗原性除去のために必要な最短期間を明らかにする必要がある。
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