研究課題/領域番号 |
07457292
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福嶌 教偉 大阪大学, 医学部, 助手 (30263247)
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研究分担者 |
市川 肇 大阪大学, 医学部, 医員
中田 精三 大阪大学, 医学部, 助教授 (50116068)
白倉 良太 大阪大学, 医学部, 教授 (00116047)
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キーワード | 異種心移植 / ヒヒ / ブタ / 頸部異所性移植 / FK506 / CAM / FUT175 / 抗ブタ赤血球抗体 |
研究概要 |
ブタの心臓を用いてヒヒ血清中の抗ブタ抗体を減少させることにより、最後に移植したブタ心臓の生着延長を試みる実験を施行した。【対象と方法】3頭のヒヒに2週間免疫抑制剤(FK506 12mg/Kg/day、CAM 30mg/Kg/day)を経口投与した後、異所性にブタの心臓を4つ連続で移植した。移植時の虚血時間を短くするために、1〜3つめまでの心臓は人工血管とコネクターで連結して再潅流させた。その際、ドナーの腕頭動脈から持続的にFUT175を2mg/Kg/hで投与し、補体の抑制を試みた。【結果】1つめの心臓は全て血流再開後心拍動を開始し、30分以内に超急性拒絶反応により心停止した。2〜3つめの心臓は1時間以上拍動していたが、1時間半で摘出し、最後の心臓を移植した。3頭のうち2頭は、技術的な問題でレシピエントのヒヒが死亡した。残りの1頭では移植後6日間心臓は拍動していた。1〜2つめの移植心は出血壊死像(超急性拒絶反応の像に一致)、4つめの移植心は遅発性の拒絶反応の像を呈していた。血清中のブタ赤血球に対するヒヒの抗体を測定したところ、心臓を移植するに応じて、その抗体価は低下し、4つめの心臓を移植する直前には検出不能のレベルにまで低下していた。【結語】3つのブタの心臓を用いて予めヒヒの血液を潅流することにより、ヒヒ血清中の抗ブタ抗体は検出レベル以下に低下し、最後に移植したブタ心臓は移植後6日間拍動していた。今後さらに免疫抑制剤の改良が必要であるが、このモデルは、Discordant異種移植における拒絶反応のメカニズムならびに予防法を研究する上で有用なモデルであると考えられた。
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