研究課題/領域番号 |
07457294
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中田 精三 大阪大学, 医学部・附属病院, 助教授 (50116068)
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研究分担者 |
福島 教偉 大阪大学, 医学部, 助手 (30263247)
伊藤 壽紀 大阪大学, 医学部, 講師 (20231152)
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キーワード | 免疫寛容 / MHC / 骨髄幹細胞 / 胸腺内移入 / 遺伝子導入 |
研究概要 |
ドナーの主要組織適合抗原(MHC)をレシピエント胸腺に提示することによりドナー特異的な免疫寛容を誘導することを目的として以下の研究を行った。 ドナーBuffalloラット(RT1b)の骨髄細胞をレシピエントWisterFurthラット(RT1u)の胸腺内に移入すると同時に、ドナー心を腹腔内に異所性心移植した。免疫抑制療法(FK506及びAnti Lymphocyte Serum)を併用し、210日以上のグラフト生着を認めた。対して、同種骨髄細胞の胸腺内投与群は平均28.8日、ドナー骨髄細胞を静脈内投与群は平均54.4日で拒絶された。長期寛容群脾細胞において、細胞傷害性T前駆細胞・IL-2産生性ヘルパーT前駆細胞の有意な低下を、RT-PCR法によりグラフト浸潤細胞のインターフェロンγ産生の有意な低下を認めた。更に寛容群では心移植後130日目にドナー皮膚をも特異的に寛容した。即ち、ドナーMHCをレシピエント胸腺に提示することが、ドナー特異的免疫寛容の誘導に有用であることが示された。 次に、レシピエントBuffalloラットの細胞にドナーPVG-R1ラット(RT1a)MHC遺伝子を導入することを試みた。RT1a遺伝子をCMVエンハンサー・アクチンプロモーターを持つ蛋白発現ベクターに組み込み、Buffalloラット肝細胞株(7316A)にエレクトロポレーションにて導入し、多数の安定導入株を得た。抗RT1aモノクローナル抗体によるウェスタンブロット・FACS解析では導入株にRT1a蛋白の発現は十分見られなかった。照射後細胞株の胸腺内移入にても免疫寛容誘導効果は認めず、寛容誘導に必要なRT1a分子が必要量提示されないためではないかと考えた。骨髄幹細胞への遺伝子導入に際しても、RT1a分子の多量の発現が寛容誘導に必要であると推察され、MHC分子を効率よく発現するベクター系の開発が必要と考えられた。
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