研究概要 |
今年は,主に兎を用いた実験モデルにおいて電気的トレーニング法を検討した.3kg前後の兎を用い,左広背筋の停止近くに刺激電極を埋込み,10週間の電気的トレーニングを施行した.トレーニング終了後広背筋を剥離し,体積5mlのマンドレルに巻き付け骨格筋ポンプを作製し,模擬回路に接続し仕事量を測定した.筋肉の刺激条件は毎分収縮回数50回で%systoleが25%となるようにし,刺激電圧は7Vとした.力学的特性及び耐疲労性に対するトレーニング効果について,トレーニングを施行した左広背筋(+)および施行しなかった右広背筋(-)を比較検討した.先ず後負荷80mmHg,前負荷5〜30mmHgの左心条件下に3回連続刺激を行い,初期拍出仕事量を比較した,次に後負荷30mmHg,前負荷5〜20mmHgの右心条件下において比較した.その後,後負荷30mmHg,前負荷10mmHgの右心条件下に毎分50回で連続駆動させ拍出仕事量を1時間まで測定し,耐疲労性を比較した.仕事量測定終了後,筋組織を生検し組織的検討を行った.左心条件下の検討では,拍出仕事量(SW)は(+)側で低い傾向が見られ,前負荷5mmHgで有意差を認めた.また(+)側の最大初期拍出仕事量は前負荷20mmHgにおいて正常兎左心一回拍出仕事量の67%であった.後負荷30mmHgの右心条件下でも(+)側の初期拍出仕事量は(-)側に比して小さく,前負荷10mmHg,20mmHgでは有意差を認めた.また,前負荷10mmHgでは正常兎右心一回拍出仕事量の184%であった.耐疲労性の検討では,(-)側では約3分で急速にSWが減少した.(+)側では初期拍出仕事量は(-)側に比して有意に小さいものの1時間駆動可能で,耐疲労性が獲得されていた.安定して維持された仕事量は初期拍出仕事量の約1/3,拍動数毎分50回として計算した正常兎右心一回拍出仕事量の66%であった.また,組織学的なtransformationが確認された.現在成山羊を用い,in siru広背筋を用いてトレーニング法の検討を続けている。
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