研究概要 |
1.ヒト脳腫瘍組織におけるRT-PCR法によるO^6-methylguanine-DNA methyltransferase(MGMT)mRNA発現の定量とMGMT mRNA低発現腫瘍の検討 MGMT cDNA(pKT107)から制限酵素PstIで切断して331base pairsのpKW100を作成し,これをプローブとして脳腫瘍43例における摘出標本のMGMT mRNA発現量を解析した.化学療法の対象となる悪性グリオーマでは23.9±17.4%(U138細胞のmRNA発現量に対する割合,n=14)であり,10%以下の低発現腫瘍(Mer^-腫瘍)は4例(29%)であった.一方,良性グリオーマのMGMT mRNAは75.0±26.8(n=4),非グリオーマでは48.6±45.3(n=25)であり,悪性グリオーマと比較して有意に高値であった(P<0.05). 2.活性阻害剤によるMGMT酵素活性の阻害効果 MGMT活性阻害剤として,O^6-benzylguanineのほかに,O^6-(4-fluorobenzyl)guanine,O^6-(3-fluorobenzyl)gunanine,O^6-(2-fluorobenzyl)guanineの誘導体を作成し,活性阻害剤処理後のMGMT活性の変化を検討した.HeLaS3細胞のMGMT活性はO^6-(4-fluorobenzyl)guanineとO^6-(3-fluorobenzyl)gunanineで2時間後に著減し,その効果はO^6-benzylguanineとほぼ同程度であった.これに対して,O^6-(2-fluorobenzyl)guanineでの阻害効果は少なかった.したがって,活性阻害剤の誘導体としてO^6-benzyl基の4-位(para-),3-位(meta-)の置換基が有効であることが判明した.
|