研究概要 |
1.ヒト脳腫瘍MGMT mRNAの発現と治療効果: 悪性グリオーマではMGMT mRNAの低発現腫瘍(Mer^-腫瘍)が存在し,良性グリオーマと非グリオーマでは有意に高値であった(P<0.05).悪性グリオーマ11例で手術・放射線治療にACNUおよびMCNUを併用し,MGMT mRNA発現とtime to progression(TTP)およびsurvival time(ST)との関連を検討した.MGMT mRNA発現量の中央値19%で低発現群(n=6)と高発現群(n=5)に分けて比較すると,低発現群のTTPは6カ月であったのに対して,高発現群では2カ月の短期間であった(P<0.05 by Gehan's Wilcoxon test).悪性グリオーマのニトロソウレア剤療法においてMGMT mRNA発現量は初期の治療効果の指標として期待される. 2.各種の合成MGMT活性阻害剤とアルキル化剤効果増強との関連: O^6-fluorobenzylguanine,O^6-trifluoromethylbenzylguanine,O^6-(pyridylmethyl)guanine誘導体を合成して用いた.阻害剤1〜10μM濃度で2時間前処理後にHeLa S3細胞のMGMT活性を測定して,ACNUの殺細胞効果の変動を比較した.O^6-benzylguanineのbenzene環の3位または4位をfluorineやtrifluoromethaneで置換した化合物,およびO^6-(3-or4-pyridylmethyl)guanine誘導体がMGMT活性を低下させた.一方,benzene環の2位に置換基を有した誘導体による効果は少なかった.ACNUの殺細胞効果は3位と4位置換誘導体の処理後にが5倍以上に増強された.
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