研究課題/領域番号 |
07457307
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
竹内 茂和 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (50143772)
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研究分担者 |
藤井 幸彦 新潟大学, 医学部付属病院, 助手 (40283014)
森井 研 新潟大学, 脳研究所, 助手 (20230089)
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キーワード | 放射線照射 / ラット / 水迷路 / 受動的回避学習 / アポトーシス |
研究概要 |
ラットに放射線照射を施行することによって"痴呆モデル"を作製し、解析を行ってきた。平成7年度は照射方法および照射量と白質障害の関係を検討するため、生後6カ月のFischer344ラットの全脳に30Gy照射した群(A群)、全脳に1回5Gyで計40Gyの分割照射を施行した群(B群)、コントロール群(C群)で、処置後6カ月の時期に、高次機能障害の出現の有無を、Morrisの水迷路と受動的回避学習の二つの課題を用いて検討したが、どの群間でも有意差はなかった。その組織学的検索では、いずれの群でも白質に壊死は認めず、A群で、GFAP陽性のastrocyteの増加を認めた。平成8年度は9カ月目に同様の検討を行ったが、A群で明らかに高次機能障害の出現したラットが多数認められ、B群にも少数認められたが、C群では認められなかった。組織学的検索では、A群では白質でのastrocyteの増加や、壊死の出現を認めたが、B群では白質の壊死は認めなかった。今後、12カ月目に同様の検索を行い、高次機能障害の出現時期と、白質でのastrocyteの増加や壊死の出現との関連を検討する予定である。 また、白質障害と、壊死やアポトーシスの関連を検討する目的で、生後7日目のFischer344ラットの右半球に、15Gyの照射を施行し、Apop Tagを用いてアポトーシスの有無を経時的に観察した。照射後6時間から、照射側の白質において陽性細胞が明らかに多く認められ、照射1日後が最も著明で、4日後には認められなくなった。これは照射による、急性期のoligodendrogliaの直接の障害を観察していると考えた。次にA、B、C群のラットで照射後9カ月目にApop Tagを用いて検討すると、A群の場合に壊死の周辺部の白質と壊死のない部分の血管に陽性細胞を少数ながら認めた。これは照射後長期間を経過しても何らかの機序でアポトーシスが起こり、それが高次機能障害の原因になりうる可能性を示唆した。
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