平成7年度までの研究経過 1)正常硬膜及び硬膜静脈洞の血管構築: 5例の横・S状静脈洞及び周辺硬膜の血管構築を光顕的に調べた。静脈洞は通常一層の内皮細胞、一層の内弾性板からなる。硬膜血管は硬膜2葉の合流する隅角部で豊富である。動脈と静脈は密接しているが、光顕的には動静脈瘻は存在しない。 2)硬膜動静脈奇形の病理組織像: 横・S状静脈洞硬膜静脈奇形4症例の病理組織像を連続切片にて観察した。本疾患の静脈洞壁には正常では観察されない、硬膜血管の動静脈瘻が存在していること、さらに、随伴する血管写上の静脈洞閉塞性所見は必ずしも静脈洞血栓によるものではなく、罹患静脈洞の著しい線維性肥厚によるものであることを組織学的に証明した。 平成7年度の研究の評価 平成7年度に計画された研究のうち、光学顕微鏡を用いた、1)正常硬膜及び硬膜静脈洞の血管構築、及び2)硬膜動静脈奇形の病理組織像の検討に関してはほぼ満足すべき成果を得た。しかしながら、本疾患では1)何故著しい静脈洞内膜の肥厚が出現するのか、2)静脈洞血栓は本疾患の原因であるのか、結果であるのか等については十分に知ることができなかった。 硬膜動静脈奇形モデルの開発を犬を用いて試みたが、十分な成果が得られなかった。今後は兎を用いて、モデルの開発を行う。
|