研究課題/領域番号 |
07457312
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉田 純 名古屋大学, 医学部, 教授 (40158449)
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研究分担者 |
萩原 正敏 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (10208423)
若林 俊彦 名古屋大学, 医学部, 助手 (50220835)
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キーワード | インターフェロン / 腫瘍壊死因子 / 遺伝子 / シグナル伝達 |
研究概要 |
(1)インターフェロン遺伝子導入時に認められる細胞の形質変化の解析 グリオーマ細胞株β型インターフェロン(IFN-β)を蛋白として投与する場合とその遺伝子を導入して細胞自身にサイトカインを産生させる場合では抗腫瘍効果に明らかな強さの違いが観察される。すなわち遺伝子を導入した方がはるかに抗腫瘍効果が強い。また遺伝子を導入した細胞の一部にはTUNEL法で陽性所見を示す細胞が観察され、その細胞死にアポトーシスが強く関与していることが示唆された。また遺伝子を導入された細胞の抽出液の中には蛋白が投与されたときには認められないリン酸化蛋白が140kDaあたりに誘導された。現在この蛋白を精製、同定中である。一方インターフェロン関連タンパクのひとつである2,5ASの活性は蛋白の投与では24時間でピークを向かえ、急速に減衰するが、遺伝子導入では48時間あたりからゆっくりと高まる結果が得られた。しかしながらこれらの事実がどのように結びつくかははっきりしておらず、現在検討中である。 (2)腫瘍壊死因子(TNF)遺伝子導入時に認められる細胞形質変化の解析 サイトカインに抵抗性を示すヒトグリオーマ細胞ではNF-κBのp50-p65 heterodimerが、感受性を示す細胞ではp50 homodimerが発現していることが昨年の本研究で示された。N-acetyl cytosine(NAC)はじめとする多くのNF-κB阻害剤を添加した実験よりp50-p65 heterodimeの発現をグリオーマ細胞の感受性には何らかの相関がある可能性が強く示唆された。一方腫瘍壊死因子(TNF-α)の蛋白を投与したとき、ヒトグリオーマ細胞ではアポトーシスというよりはむしろネクローシスが導かれるが、TNF遺伝子を導入したときにはIFN-βの場合と同様、アポトーシスが多く観察された。このメカニズムについて現在さらに検討を加えている。
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