研究課題/領域番号 |
07457314
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
菊池 晴彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (20072746)
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研究分担者 |
寳子丸 稔 京都大学, 医学研究科, 講師 (70211539)
永田 泉 京都大学, 医学研究科, 講師 (10198327)
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キーワード | もやもや病 / 浅側頭動脈 / 不死化 / V-myc / TGFβ1 / HoxB7 |
研究概要 |
もやもや病では、外頚動脈系にも狭窄性病変が存在し、平滑筋細胞に分子レベルでの変化が存在することが示唆されている。そこで、本研究では、分子生物学的解析に十分な量の血管平滑筋細胞を得るために、不死化を試みた。もやもや病3例、コントロール3例からバイパス手術時に浅側頭動脈の断片を採取し、血管平滑筋細胞を培養しLINXv-myc retrovirusを感染させた。初期培養では10継代までで増殖を停止させるのに対し、LINXv-myc感染細胞では最長28継代まで培養が可能であった。本retrovirusにより不死化は困難であったが、ヒトの血管平滑筋細胞の最大継代数を2-3倍増加させることができた。 各症例より得られた細胞よりRNAを抽出し、RT-PCRによりTGF-β1,HoxB7の定量をおこなったところ、TGF-β1は肉膜肥厚に関与する因子として考えられているが、もやもや病とコントロールの間で明らかな差を認めなかった。一方、HoxB7は、ヒトの胎生期の血管平滑筋細胞に発現し、成人では消失することが認められているhomeobox geneであるが、コントロール3例ともやもや病1例に発現を認め、テトラサイクリン投与によりHoxB7の発現が消失した。さらに、HoxB7は、v-myc遺伝子過剰発現により4例にHoxB7の発現が認められ、myc遺伝子とHoxB7発現の相関が示唆された。 以上により、本方法により得られた不死化中膜平滑筋細胞は有用であると考えられるが、もやもや病の病因解明のためには、さらに解析を進める必要があると考えられる。
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