研究課題/領域番号 |
07457322
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
松谷 雅生 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90010454)
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研究分担者 |
西川 亮 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90237678)
杉山 聡 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (50154498)
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キーワード | astrocytoma / glioblastoma / 染色体 |
研究概要 |
研究目的:種々の分化度を示すastrocytic tumorの染色体異常を検索し、組織像、診断画像、臨床経過との関連を分析し、本腫瘍の発生・進展機構の解明を行う。 (1)現在まで治療を行なったastrocytomaのほぼ85%が再発時の組織学的悪性変化を示し、glioblastoma類似の組織像であった。 (2)典型的astrocytomaは灰白質に露出して発育するのに対し、典型的glioblastomaは白質深部に発育する。従って、astrocytomaに遺伝子異常が加わり悪性転化を起こしたとすると、脳表面発育型のglioblastomaになるはずである。この型は自験例の25%である。 (3)上記の背景をふまえると、本研究における重要なポイントは分化度の異なる腫瘍を巾広く検索することになる。既に、32症例について腫瘍中心部、周辺部、あるいは浸潤部位などの異なった部分からの組織を採取した。それらのHE染色による観察により、細胞の悪性度や形質の異なる部位、具体的には細胞異型度の異なる部分、血管構築や血管内皮細胞の異常を伴う部分、壊死周辺部、腫瘍浸潤部など、に分割した。この部について、組織学的検索と共にDNA,RNAおよびproteinの抽出を型通り行った。 (4)免疫組織学による遺伝子発現異常の検索では、p53およびEGFRの異常発現は、腫瘍中心部で幅広く観察されるが周囲浸潤域では弱い。高分化のastrocytoma悪性転化例においても、p53発現例が必ずしも有意に悪性転化をするとの結果は得られなかった。 (5)以上のような状況を踏まえて、次年度では腫瘍進展の臨床像に応じた分析を行ない、遺伝子異常と腫瘍形質との関係を明らかにする。具体的に遺伝子異常を検索し比較・分析する対象は、皮髄境界発生のastrocytomaと白質発生のglioblastoma、およびglioblastoma組織のheterogeneityに応じた部分像、である。
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