研究課題/領域番号 |
07457322
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
松谷 雅生 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90010454)
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研究分担者 |
西川 亮 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90237678)
杉山 聡 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (50154498)
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キーワード | astrocytoma / glioblastoma / p53 / EGFR |
研究概要 |
本年は免疫組織化学によってastroccytic tumor 51例のp53及びEGFR異常を検索した。 astrocytic tumorではp53の異常は約50%の頻度で認められ、その発生段階の初期に関与していると考えられている。一方、EGFRの増幅変異は認めるがp53異常は認めないde novo glioblastoma(GM)の概念も注目を集めている。 結果:(1)astrocytoma(AS)→anaplastic astrocytoma(AA)/GMへのprogressionが認められた症例が10例あった。そのAS7例のうち5例がEGFR(-)/p53(+)、1例はEGFR(+)/p53(+)、1例はEGFR(-)/p53(-)であった。再発時のAA/GM7例の内5例がEGFR(-)/p53(+)2例はEGFR(+)/p53(+)であった。(2)EGFR(-)/p53(+)のASで経過を追跡し得た7症例の内5例(上記)はAA/GMへ転化再発したが、1例は7年間再発なく1例は5年後の再発も同じASであった。(3)EGFR(-)/p53(-)で長期間追跡し得たAS4例の内2例は再発なく経過し、2例は6年後悪性転化した。その1例の組織はEGFR(-)/p53(+)のASであった。 結論:EGFR(-)/p53(+)のAS症例の悪性転化再発率は5/7で、p53の免疫組織化学は臨床上有意義である。ASから悪性転化したAA/GMにEGFR(+)/p53(-)の症例がなかったことはde novo GM存在仮説の正しさを示唆した。しかし逆にEGFR(-)/p53(-)のASにも悪性転化した可能性のある症例があり、p53異常を認めない残り50%のASに関与している遺伝子異常が未解決であることを考えると、この仮説の限界を示唆するものと考えられた。
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