研究概要 |
1.原発性骨悪性腫瘍12例、原発性軟部悪性腫瘍10例の手術時に、腫瘍組織、いわゆる反応層と評価される腫瘍に接する変色した筋肉組織、偽被膜の組織、腫瘍から5cm以上離れた健常と思われる部分の筋肉組織を採集して冷凍保存した。冷凍保存した細胞からm-RNAを抽出、逆転写酵素処理しc-DNAとして、骨腫瘍においては、骨誘導因子、軟部腫瘍においては各組織形に応じたprobeを用いてPCRを行い腫瘍組織に発現しているm-RNAが腫瘍周囲の組織で発現しているか確認した。発現の確認された部位を術前の画像評価、臨床経過と対応させて、検討中である。 2.手術材料の肉眼的評価と術前画像評価とを比較して特にMRIにおいては反応層と腫瘍周囲の浮腫状変化との判別のために造影剤を使用した撮影を用いて慎重に評価する必要があると思われた。病理組織学的評価では、いわゆる反応層では腫瘍細胞を確認できなかった。 3.骨肉腫患者は64例より採取した材料を用いてメタロチオネイン(MT)、(GSTπ)、熱ショック蛋白27(HSP27)、熱ショック蛋白70(HSP70)、Lung resistance-related protein(LRP)、の発現と予後の関連とを調べた。MT,GSTπ,HSP27,HSP70、LRPは手術材料の40%、58%、37%、52%、35%で過剰に発現していた。手術時のGSTπ、HSP27,HSP70、LRPの過剰な発現は予後の不良と有意な相関があった。
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