研究概要 |
平成7,8,9年度の3年間にわたる研究の結果以下の点が明らかになった。 1.ヒト骨内腫症例を用いての薬剤耐性骨内腫の細胞生物学的特徴の解析 DNAプロイディ解析ではdiploidよりもaneuploidやeuploid-polyploidの骨肉腫のほうが化学療法に感受性が高く予後がよいことが判明した。diploidの骨内腫は薬剤耐性で術前化学療法で組織学的反応が悪く,プロイディの変化も少ないことが分かった。アドリアマイシン結合能(%AB)の解析では%ABが80%以上の骨肉腫は術前化学療法に対する腫瘍壊死率が高く,80%以下のものは低いことが判明した。DNAプロイディ解析やP糖蛋白の解析もあわせて生検組織での骨肉腫の薬剤耐性は%ABで評価するのが良いと結論した。 2.薬剤耐性マウス骨肉腫の細胞生物学的特徴の解析 我々が樹立した多剤耐性マウス骨肉腫瘍胞株はP糖蛋白を有し%ABも低い。増殖能は感受性腫瘍と同じであるがマウスへの生着率は低く骨形成能が高いことが明らかになった。 3.薬剤耐性マウス骨肉腫を用いた耐性克服法の検討 各種の化学的,物理学的耐性克服方法を試みた結果,verapamil,cyclosporin A,MS-209,Tween20,Tween80,電磁波,放射線などが比較的強い耐性克服作用を示した。このうち,臨床応用可能なものとしてはMS-209と電磁波が有力と考えた。
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