研究課題/領域番号 |
07457346
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
中村 利孝 産業医科大学, 医学部, 教授 (50082235)
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研究分担者 |
田中 義哉 産業医科大学, 医学部, 助手 (30248562)
岡部 聡 産業医科大学, 医学部, 助手 (00248577)
酒井 昭典 産業医科大学, 医学部, 講師 (90248576)
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キーワード | 坐骨神経切除マウス / 骨芽細胞と破骨細胞 / 骨不動化 / 海綿骨 / 骨髄細胞 / CFU-f / CFU-GM / 副甲状腺ホルモン |
研究概要 |
平成8年度の研究では坐骨神経切除マウスにおける海綿骨の骨梁表面の骨吸収と骨形成の変化と、骨髄細胞における骨芽細胞及び破骨細胞の分化との関係を検討した。 坐骨神経切除により不動化されたマウスの脛骨では術語14日で海綿骨の減少が明らかになる。骨梁幅が減少し、その後、4週間で骨梁数が減少する。海綿骨の骨梁表面の骨芽細胞による骨形成面は不動化後7日で急激に減少した。骨形成速度は変化しなかった。破骨細胞面と破骨細胞数は不動化後18日より増加し21日に最大となり、その後減少した。骨髄液中のアルカリフォスファターゼ活性は不動化後、経時的に減少した。骨髄細胞中での骨芽細胞へ分化する細胞を含んだ細胞数ではCFU-f(colony forming unit fibroblastic)の数は、神経切除では変化しなかった。破骨細胞の前駆細胞を含むCFU-GM(colony forming unit Granulocyte and Macrophage)は不動化側と健常側とで同じであった。骨髄細胞の混合培養系での破骨細胞形成実験では、活性型ビタミンD,prostaglandin E2による刺激では、不動化側と健常側の骨髄細胞で差はなかったが、副甲状腺ホルモンによる刺激では、不動化後2週間の骨髄細胞で破骨細胞形成が増加した。 これらの事実は、神経切除による骨の不動化では骨髄基質細胞は、CFU-fの分化までは影響されず、CFU-f以後で骨芽細胞の形成能が持続的に低下することを示している。また破骨細胞については、CFU-GMの分化までは不動化で影響されず、破骨細胞の最終分化段階である細胞融合の過程での副甲状腺ホルモンに対する感受性が一時的に増強して、破骨細胞数が増加するものと考えられた。不動化による骨吸収と骨形成のカップリングの異常には、骨髄細胞での細胞間でのシグナル伝達に異常が生じているものと推察される。
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