研究課題/領域番号 |
07457358
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
白川 洋一 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90134600)
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研究分担者 |
飴野 清 香川医科大学, 医学部, 助教授 (50019626)
塚本 郁子 香川医科大学, 医学部, 助手 (10183477)
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キーワード | 薬物中毒 / 呼気分析 / FT-IR / 長光路気体セル |
研究概要 |
急性中毒患者において呼気は最も採取しやすい試料の一つであり、これをもとに薬毒物を定性・定量分析できれば治療上有用である。赤外分光分析は気体試料をそのまま測定可能であるが、水蒸気が障害となり、測定感度も十分でなかった。しかし、FT-IRにより水の存在はある程度許容され、気体用長光路セルで測定感度もかなり上昇する。 FT-IR分光光度計(パーキンエルマ-社製、1600型)に光路長1.2〜7.2メートルの気体用セル(Infrared Analysis Inc.社製、Long Path Mini Cell,Model6、窓板:ZnSe)を装備した。定性分析の予備実験として、有機溶剤のFTIRスペクトルを測定したのち、複合有機溶剤に溶解されている数種の有機リン系殺虫剤製品がFTIRスペクトルの違いで判別できることを確認した。つぎに、エタノール、トルエンの測定感度と定量性を調べた。定量用ピークは、呼気中成分(CO_2、H_2O)に重複せず吸光係数の大きい2988cm^<-1>(エタノール)、3043cm^<-1>(トルエン)を選んだ。気体試料の調整にはガラスシリンジと気体サンプリングバッグ(テドラ-社製)を用いた。エタノールは0.016〜1.6mg/I、トルエンは0.1〜10.0mg/Iの範囲で吸収強度と濃度の直線性を確認した。 臨床応用の手始めとして、エタノールの呼気中濃度と血中濃度の同時測定を行った。20人の健常者に飲酒後(体重60kg当たり日本酒1合)の呼気と血液を経時的(0〜180分)に採取した。血液中濃度はガスクロマトグラフィーにより求めた。ピーク時で飲酒運転の基準となる0.25mg/I(呼気中)前後に達し、飲酒後3時間にわたって精度よく定量できた。血液ガス分配係数は、エタノール濃度がピークに達する15-60分において小さく、それ以後は2500前後に落ち着いた。
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