研究概要 |
重症呼吸不全に対しNO吸入濃度を0,125,250,500ppb及び1,2,4,8,16ppmと変更した結果と長期投与の結果から、125〜500ppb単位の超微量NO吸入でも酸素化が改善すること、NO吸入療法下では炭酸ガスの排出も促進されること、適切なNO吸入濃度は2〜4ppmの付近に存在すること、低濃度のNO吸入であれば約73日に及ぶ長期NO吸入でも全く副作用なく患者を救命できること、重症呼吸不全患者に対するNO吸入療法の長期予後は原疾患の重症度に左右されることが示唆された。更に、NO吸入療法により酸素化が改善するためには肺高血圧の存在が不可欠であること、酸素化改善の程度は肺高血圧の重症度に比例するという新知見を得た。本研究は、超微量のNO吸入療法の意義と長期NO吸入療法の安全性を確立しつつある。更に、重症呼吸不全に対する重要な救命手段としてNO吸入療法の意義を明らかにしつつある。更に、研究成果は、NO吸入療法による酸素化改善の程度を前もって予測できることを明らかにしつつある。ところで、動物実験ではNO吸入療法と肺血管収縮薬との併用効果を認めなかった。しかし、実験の過程でNO吸入療法下で酸素化が改善するためにはNOガスが肺胞に到達することが不可欠であることに気付きNO吸入療法下でpositive end-expiratory pressureやin-verse ratio ventilationと併用すると酸素化能が増強するという酸素化能を増強するための臨床的で具体的な方法を見出すことに成功した。
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