研究概要 |
成人及び小児ARDS(acute respiratory distress syndrome)に対しNO吸入濃度を0,125,250,500ppb及び1,2,4,8,16ppmと変更した結果125〜500ppb単位の超微量NO吸入でも酸素化が改善すること、酸素化改善の程度はNO吸入前のPaO_2レベルと高い相関を示すこと、NO吸入療法下では炭酸ガスの排出も促進されること、適切なNO吸入濃度は成人及び小児ARDS共に2〜4ppm以下に存在すること、低濃度NO吸入であればNO_2濃度は無視できるほど小さく数カ月に及ぶ長期NO吸入でも全く副作用なく患者を救命できることを明らかにした。更に、NO吸入療法により酸素化が改善するためには肺高血圧の存在が不可欠であること、酸素化改善の程度は肺高血圧の重症度に比例するという知見を得た。これらの研究結果は、超微量NO吸入療法の臨床的意義と長期NO吸入療法の安全性を確立するとともに、ARDSに対する重要な救命手段としてのNO吸入療法の意義を明らかにした。更に、動物実験の過程でNO吸入療法下で酸素化が改善するためにはNOガスが肺胞に到達することが不可欠であることに気付き、NO吸入療法下でPEEP(positive end-expiratory pressure)やIRV(inverse ratio ventilation)を併用すると酸素化能が一層増強するという事実を発見した。
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