1)成熟ラット海馬スライス標本を作成し、95%N_25%CO_2飽和グルコース欠乏液を投与(脳虚血類似負荷)すると、CA1錐体細胞では2分後一過性の過分極電位が生じ、4分後に緩除な脱分極電位に移行し、約6分後に急峻な脱分極電位が発生、この時点で95%O_2-5%CO_2飽和グルコース含有液に戻しても、膜は持続的に脱分極し、不可逆的変化が生じた。 2)潅流液中のglutamate含量は脳虚血類似負荷直後より次第に増加し始め、4分後(緩徐脱分極発生時)にピークに達し、コントロールの約2倍に増加した。6分後(急峻脱分極発生時)は約1.5倍の増加を示した。この時点で正常潅流液に戻すと、glutamate含量は速やかにコントロール値に回復した。 3) Glutamate antagonists CNQX (50μM) /APV(250μM)で標本を前処理すると、緩徐脱分極電位の振幅は著名に抑制されたが、急峻脱分極電位のそれは影響を受けなかった。この時点で再酸素化すると、約60%の細胞で膜電位がコントロール値に回復した。 4) Fura-2/AM負荷標本を用いた細胞内Ca濃度変化は脳虚血類似負荷直後より次第に増加し始め、急峻脱分極発生時にほぼ一致して著名に増加し、蛍光強度が約2倍になった。この時点で正常潅流液に戻すと、細胞内Ca濃度は次第に減少し始めたが、30分後でもコントロール蛍光強度の約1.5倍の高値を維持した。
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