当初の研究計画とは順序がやや異なり、ヒト尿路・性器平滑筋におけるNOS subtypeを検討した結果となった。以下に本年度における研究成果を述べる。 1:高齢ヒトおよび若年イヌ前立腺平滑筋において、薬理学的・組織化学的・生化学的にNOSの一種類であるconstitutive NOS神経の存在を証明し、両者の比較から前立腺肥大症による排尿障害の原因のひとつにNOS神経の関与が考えられた。 2:ヒトおよびイヌ尿道平滑筋において、薬理学的・組織化学的にconstitutive NOS神経の存在を証明し、特に雌における全尿道でのNOS神経の分布をヒトおよびイヌで比較検討し、尿禁制機構の違いを認めた。 3:ヒト尿管平滑筋において、組織化学的・免疫組織化学的にconstitutive NOS神経の存在を証明したが、薬理学的には充分な活性は得られなかった。 4:ヒト陰茎海綿体平滑筋において、組織化学的・生化学的にNOSの一種類であるconstitutive NOS神経の存在を証明した。
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