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1995 年度 実績報告書

精巣腫瘍におけるゲノム刷り込み異常の解析

研究課題

研究課題/領域番号 07457370
研究種目

一般研究(B)

研究機関京都大学

研究代表者

小川 修  京都大学, 医学研究科・泌尿器科, 助手 (90260611)

研究分担者 寺井 章人  京都大学, 医学研究科・泌尿器科, 助手 (50243019)
筧 義行  京都大学, 医学研究科・泌尿器科, 講師 (20214273)
寺地 敏郎  京都大学, 医学研究科・泌尿器科, 講師 (50207487)
吉田 修  京都大学, 医学研究科・泌尿器科, 教授 (70025584)
キーワード精巣腫瘍 / インプリンティング / ヘテロ接合性 / 染色体欠失 / H19遺伝子
研究概要

ゲノムインプリンティングとは、遺伝子がその由来する親の性別を記憶しており、それに基づいて遺伝子発現が制御されていることを示している。最近ヒトにおいても数種の遺伝子において実際にインプリンティングが証明され、それに関連した特異的な遺伝性疾患や、ヒト発癌が注目を集めている(Human Cell, in press).我々は精巣腫瘍発生におけるイプリンティングの関与を明らかにする目的で、精巣腫瘍42症例を対象に、サザン法、PCR-RFLP法を用いて1p,3p,11p,17pにおけるヘテロ接合性消失(LOH)と欠失アレルの父母由来を検討した.この結果、上記の染色体短腕において各々47%,46%,33%,56%の症例にLOHを認めた。各染色体のLOH解析の結果と臨床病期、組織型などの臨床データーとの関連は認められなかった.次に27症例において父母の血液からDNAを採取し、精巣腫瘍組織において欠失しているアレルの親由来を検討した.1p,3p,11p,17pのアレルにおいて各々、8,10,9,13症例について父母由来が確認可能であったが、どの染色体の欠失おいても、その親由来に偏りは認められなかった(1995,癌学会発表)・更にヒトにおいてインプリンティングが証明されている第11染色体上のH19遺伝子の発現状態を正常精巣組織6症例、精巣腫瘍組織14症例を用いて解析した.正常組織では6例全例において母親由来のH19のみ発現(maternal monoallelic expression)しており、H19のインプリンティングは正常に保たれていた.一方、腫瘍組織ではH19 locusにLOHを認めない11例全例で、両親のH19からの発現(biallelic expression)が認められた.現在まで、ヒト正常精巣におけるH19遺伝子発現の父母由来を確認したデータは無いが、Piroskaらは、マウスの原始生殖細胞、精粗細胞においてはH19はbiallelic expressionを示すと報告しており、我々のstudyにおける正常精巣組織のH19のmaternal monoallelic expressionは、生殖細胞以外の体細胞からの発現をとらえている可能性が高いと判断した.また、精巣腫瘍において認められたH19のbiallelic expressionは、腫瘍化の過程におけるインプリンティングの異常というよりも、インプリンティングの再確立がなされる以前の生殖細胞の性格の反映である可能性が示唆された(Cancer Research投稿中).今後更に、ゲノムインプリンティングが証明されているIGF2,SNRPNの発現状態を解析していく予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 小川 修: "ゲノムインプリンティング異常と癌化" Human Cell. (in press). (1996)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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