研究概要 |
膀胱移行上皮癌由来培養細胞株(KK-47,TCCSUP,T24)を用いて,癌細胞による各種サイトカイン(GM-CSF,TNF alpha,EGF,IL-1 beta,IL-6)産生能を検討し,G-CSFのそれらのサイトカイン産生に及ぼす効果を検討した.さらに樹立培養癌細胞におけるG-CSFレセプター発現をも検討した.T24細胞はそれ自身でIL-6,GM-CSFを産生し,G-CSF0.1ng/mlを添加することにより両サイトカインの産生が有意に増加した.しかし,G-CSFの濃度を1.0ng/mlと高めるとG-CSF0.1ng/ml添加時にくらべサイトカイン産生は低下した.TCCSUP細胞では,T24細胞と同様にそれ自身がIL-6,GM-CSFを産生していた.しかし,G-CSFを1.0ng/mlの濃度で添加した時にGM-CSF産生が有意に高値を示したのみであり,サイトカイン産生にG-CSFは影響を与えなかった.一方,KK-47細胞はIL-6を産生し,IL-6のmRNAを発現していたがG-SCF添加によるIL-6の産生増強は見られなかった.^<125>I-rG-CSFを用いたG-CSFレセプター測定では,TCCSUPでは1細胞当たり平均188個のレセプターが認められたが,KK-47細胞およびT24細胞では特異的なレセプターはみられなかった.また,今回得られた結果と以前にわれわれが得た3つの細胞が共にG-CSF添加によりある濃度まではコロニー形成率が増加した結果とを比較すると,癌細胞上のレセプターの有無と癌細胞増殖とは相関しなかった.
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