研究概要 |
健常人末梢血単核細胞(PBMC)の培養上清中にはIL-6,EGF,basic-FGF,IL-2などのサイトカイン産生は認められなかった.KK-47細胞はbasic-FGFとIL-6を産生し,T24細胞はIL-6を産生した.rG-CSFとKK-47細胞の96時間接触では,rG-CSF10ng/mlの濃度までbasic-FGFの産生がrG-CSF濃度依存性に増加し,rG-CSFと共にPBMCを加えて培養すると(PBMCと培養細胞は非接触),さらに増強された.basic-FGFを加えてKK47細胞を培養すると,細胞数はbasic-FGF濃度依存性に増加した.KK-47細胞のIL-6産生はrG-CSFを加えても増加せず,PBMCとrG-CSFと共に培養すると有意に(p<0.05)増加したが,rG-CSF濃度依存性ではなかった.rG-CSF加培養液でKK-47細胞を培養すると,rG-CSF濃度依存性にS期細胞が増加したが,T24細胞では増加しなかった.KK-47細胞はIL-6 receptor,FGF receptor 1,rG-CSF receptorのmRNAを発現したが,FGF receptor 2は発現しなかった.T24細胞はIL-6 receptorのmRNAを発現したが,rG-CSF receptorのmRNAを発現しなかった.PBMCはrG-CSFの他にFGF receptor 1,FGF receptor 2のmRNAを発現した.IL-6およびbasic-FGFはKK-47細胞のautocrine factorである可能性が示唆され,KK-47細胞のrG-CSF存在下での増殖能にはbasic-FGFが関与している可能性が示唆された.
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