研究課題/領域番号 |
07457375
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
和田 文雄 香川医科大学, 医学部, 教授 (20028385)
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研究分担者 |
大矢 治世 香川医科大学, 医学部, 助手 (80223973)
西 望 香川医科大学, 医学部, 助手 (10145047)
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キーワード | 膀胱癌 / 浸潤 / 転移 / 増殖因子 / 細胞外基質 / EGF / 尿 |
研究概要 |
前年度の研究結果から、尿中のscatter factor活性(SF活性)のうち低分子量画分の活性は低分子量EGFに基づくことが分かった。高分子量画分の活性が高分子量EGFによるものか否かを調べるため、分子篩クロマトグラフィによって得られた高分子量画分をそらに逆相HPLCとMono Qカラムを用いたFPLCによって分画し、ほぼ純粋な高分子量EGF(54kDaと74kDa)を得た。これら2種類の高分子量EGFはともにNBT-IIに対してSF活性を示し、また、抗EGF抗体は高分子量画分中のSF活性を阻害した。これらの結果から、ラット尿中のSF活性のほとんどはEGF(6kDa、54kDaおよび74kDa)によるものであることが明らかとなった。ヒト尿についても分子篩クロマトグラフィによる分画と抗EGF抗体を用いたウエスタンブロットを行い、ラットと同様の結果を得た。EGFのSF活性に対する細胞外基質の影響を調べた結果、ラミニン、フィブロネクチン、I型コラーゲン、IV型コラーゲンで培養プレートをコートすることにより、NBT-IIに対するEGFのSF活性が増強されることが分かった。調べた細胞外基質成分の中ではI型コラーゲンの効果が最も大きかった。EGF以外の増殖因子の中では、すでに報告されているとおりHGFがNBT-IIに対して強いSF活性を示し、bFGF、IGF-II、PDGFの作用はEGFよりも低かった。TGF-β1は単独では活性を示さなかったが、TGF-β1の共存によりEGFのSF活性が増強された。これらの結果は、尿中のSF活性の本体であるEGFの作用が、細胞外基質や他の増殖因子の共存によって変化することを示している。
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