研究課題/領域番号 |
07457375
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
和田 文雄 香川医科大学, 医学部, 教授 (20028385)
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研究分担者 |
大矢 治世 香川医科大学, 医学部, 助手 (80223973)
西 望 香川医科大学, 医学部, 助手 (10145047)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 膀胱癌 / 尿 / 浸潤 / 転移 / 増殖因子 / Scatter factor / EGF / Cell motility |
研究概要 |
膀胱癌細胞が産生しautocrine的にその増殖と運動を促進する因子を検索することを目的として、担胱癌ラット尿中の因子を分析した。ラットをBBNで処理し、様々な発癌過程にある動物の尿を採集し、膀胱癌(ラット、BBN発癌)由来細胞株、NBT-IIを標的細胞として用いてscatter factor活性(SF活性)を調べた。ラット尿中には比較的強いSF活性が存在しており、この活性は分子篩クロマトグラフイによって高分子量と低分子量の二つの成分に分離された。両画分の活性をさらに逆相NPLC、FPLCによって精製した結果、高分子量画分からは高分子量EGF(54kDaと74kDa)、低分子量画分からは低分子量EGF(6kDa)が得られた。さらに、ラット顎下腺から精製した低分子量EGFがNBT-IIに対して明らかなSF活性を示すこと、抗EGF抗体が尿中のSF活性を阻害することから、ラット尿中のSF活性のはとんどはEGF(6kDa、54kDaおよび74kDa)によるものであることが明らかとなった。ヒト尿についても分子篩クロマトグラフィによる分画と抗EGF抗体を用いたウェスタンブロットを行い、ラットと同様の結果を得た。一方、ラット尿中のSF活性は、発癌過程とは相関性を示さず、また、正常人と膀胱癌患者の間で、あるいは膀胱癌患者において膀胱摘出手術前後で、尿中のSF活性に有意な差を認めなかった。これらの結果は、予想に反して尿中SF活性の大部分が膀胱癌細胞に由来するものでないことを示しているが、尿中の主要な増殖因子であるEGFが膀胱癌細胞の運動を促進し、その浸潤、転移に関与する可能性を示している。尿中SF活性に関するこのような研究結果に加えて、ウェスタンブロットによる低分子量EGFの検出感度を飛躍的に向上させる新しい手技を開発し、今回のラット尿中SF活性の分析に応用した。
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