研究概要 |
1.IFN-α感受性症例のHLA phenotypeに関する検討 進行性腎細胞癌症例を対象にIFN-α療法を施行してきた症例の内、PRもしくはCRになった奏効症例37例に関して、患者本人の承諾の基、末梢血を採取し、HLA class Iおよびclass II抗原phenotypeを検討した。さらに、未治療腎細胞癌97例に対しても患者の承諾の基、同様の検討を行った。対照には健常日本人のHLA抗原panelを用いた。その結果、1)未治療腎細胞癌では、6抗原(B35,Bw48,Bw60,DRw6,DRw8,DR9)の発現率が対照に比較して有意低かった。さらに、2)IFN-α感受性症例では、これら6抗原中、3抗原(B35,Bw48,DR9)の発現が、未治療腎細胞癌および対照に比較して有意に発現率が高かった(Int.J.Urol.,1996;3:435-440)。これら2項目の結果から、腎細胞癌ではある特異的HLA抗原の発現がIFN-α投与に伴う効果と関連することが示唆された。さらに、IFN-α投与により賦活化された自己免疫担当細胞が自己HLA抗原認識の際、よりbinding motifの高い、3抗原が少なくとも存在し、本研究のend pointであるtumour-rejecting antigen(s)(TRA)の存在を示唆したものと考えられた。今後、これらIFN-α感受性症例を対象にTRAの解析を行う予定である。 2.TNF gene polymorphismと予後 患者本人の承諾の基、60例の腎細胞癌患者末梢血から採取したgenomic DNAの解析から、HLA class III lociがcodeするTNF-β gene polymorphismと予後との関連を検討した。その結果、TNF-β 1 homozygoteが他のzygoteに比較して有意に生存率良好であった。今後、TNF-β 1 homozygote症例がTNF-β high producerであるか否かの検討を進める予定である。
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