研究概要 |
平成8年度は女性生殖器腫瘍のゴナドトロピン放出因子(GnRH)受容体カップルするGTP結合蛋白質を同定した。手術摘出した卵巣癌,子宮内膜癌,子宮筋肉種を研究材料として用いた。GnRH受容体のmRNAとGnRH結合部位が検出された試料から,形質膜を調製した。GnRHは濃度依存性に百日咳菌毒素による41Kダルトン蛋白質のADPリボシル化を抑制した。41KダルトンのGiタンパクがimmunoblottingで検出された。GnRH受容体陽性の形質膜を予め百日咳菌毒素とインキュベートすると,GnRHによる膜現象(リン酸化チロシン脱リン酸化酵素の活性化,ホスファチジルイノシトールキナーゼの抑制)が阻害された。つまり,女性生殖器腫瘍のGnRH受容体はGiタンパクと共役していることが明らかとなった。このことは,Gq/G11ファミリーとカップルしている下垂体GnRH受容体とは異なる情報伝達機構を有していることを示唆するものである。
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