研究概要 |
1.卵巣、胎盤での各種成長因子、サイトカインと受容体ならびに癌遺伝子さらにはFas抗原とアポトーシス特有のDNA断片化の発現態度を細胞増殖能との関わりで、卵胞発育段階別、妊娠週数別に検討し、卵胞発育、退行、閉鎖に伴う各因子の特徴的な動態と妊娠の進行に伴う動態を明らかにした。 2.顆粒膜細胞の無血清培養系において、各種成長因子とサイトカインの細胞増殖と分化機能に及ぼす影響を検討するため、細胞の増殖能はKi-67, PCNA染色ならびに^<-3>H-thymidineオートラジオグラフィーによって、分化機能はestradiolとprogesterone産生を指標として、またアポトーシスはin situ DNA 3^1-end labeling法によって検討した。その結果、FSH, IGF-I, EGFはfollicle survival factorとして働くのに対し、TGFβとTNFαは未熟卵胞顆粒膜細胞の増殖能を抑制し、成熟卵胞顆粒膜細胞の分化機能を抑制してatretogenic factorとして働くことを明らかにした。平成7年度の申請で購入を認められたブロッティングシステムの導入は本研究を効率的に遂行する上で大きな偉力を発揮した。 3.上記顆粒膜細胞細胞系で、培養経過に伴うアポトーシス発現に及ぼす成長因子、サイトカインの影響を調べ、FSH, IGF-I, EGFは顆粒膜細胞のアポトーシスを抑制するのに対して、TGFβ, TNFαはアポトーシスを促進することを明らかにした。
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