研究課題/領域番号 |
07457389
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
青野 敏博 徳島大学, 医学部, 教授 (50028445)
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研究分担者 |
漆川 敬冶 徳島大学, 医学部・附属病院, 助手 (80243682)
苛原 稔 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (20160070)
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キーワード | 不妊症 / 排卵誘発法 / 排卵障害 / GnRH律動投与法 / コナドトロピン療法 / 多胎妊娠 / 単一卵胞発育 / 卵巣過剰刺激症候群 |
研究概要 |
平成9年度は本研究の最終年として、FSH-GnRH療法の排卵誘発法としての臨床的有用性の総合的検討を行った。 まず、視床下部性性無排卵症患者においては、FSH-GnRH療法群とFSH単独療法群の間で治療開始からhCG投与日までの期間、排卵率、妊娠率に有意差はなかった。しかし、FSH-GnRH療法群では治療周期の80%に単一卵胞発育が認められたのに対し、FSH単独療法群では12.5%に過ぎなかった。単一卵胞発育の得られる周期がFSH-GnRH療法群では有意に多いため、OHSSの発生も認めず(FSH単独療法:25.0%)、妊娠は全て単胎妊娠であった。また、視床下部性性無排卵症に比べて多胎妊娠を起こしやすいPCOS症例においても、FSH-GnRH療法における排卵率、妊娠率はFSH単独療法に比較して有意差はなかった。しかし、FSH単独療法では妊娠例の30.8%が多胎妊娠であったのに対し、FSH-GnRH療法では13例の妊娠すべてが単胎妊娠であり、FSH-GnRH療法で有意に多胎妊娠率が低く、OHSSの発生率もFSH-GnRH療法で16.3%とFSH単独療法の43.9%と比較して有意に低率であった。 以上より本年度の結論として、FSH-GnRH療法は視床下部性性無排卵症において発育卵胞数を減少させ、多発排卵に由来する多胎妊娠やOHSSを予防できること、また視床下部性性無排卵症に比べて多胎妊娠を起こしやすいPCOS症例においても、視床下部性性無排卵症に対する成績に近い副作用軽減効果が認められ、かついずれの症例でも排卵率、妊娠率が従来のゴナドトロピン療法と同等であることが示されたことより、我々が開発したFSH-GnRH療法は、現在の段階で最も多胎妊娠を防止できる可能性のある有効な排卵誘発治療法であると考えられた。
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