研究課題/領域番号 |
07457390
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小柳 孝司 九州大学, 医学部, 助教授 (30136452)
|
研究分担者 |
堀本 直幹 秋田大学, 医学部, 講師 (40243927)
吉里 俊幸 九州大学, 医学部, 助手 (80264034)
月森 清巳 九州大学, 医学部, 助手 (90253450)
佐藤 昌司 九州大学, 医学部, 講師 (00225947)
中野 仁雄 九州大学, 医学部, 教授 (40038766)
|
キーワード | ヒト胎児 / 胃の蠕動運動 / ウルトラディアンリズム / 機能的発達 / 超音波電子スキャン |
研究概要 |
1.ヒト先天性十二指腸閉鎖症を合併した妊娠29週のヒト胎児をモデルとして、胃の輪郭線形状の経時的な変化を定量的に記述し、胃の蠕動運動にウルトラディアンリズムが存在するか否かを明らかにすることを目的とした。超音波電子スキャンを用いて、胃を60分間連続して観察し、その輪郭線をデジタイザーを用いてプロットした。ボロノイ図とデロ-ネ三角分割を基づく胃の輪郭線の対称軸と対称軸に対して対称なドット対を抽出し、この対称軸が直線になるように胃の形状を変形させた。これを規格化図形と定義した。この規格化図形とその包絡図形との差異を胃の全周にわたって算出し、その二乗平均根を変形度と定義し、胃の輪郭線のくびれの程度を表す指標として用いた。統計学的解析には、最小二乗メディアン法を用いた。その結果、変形度の経時的変化には、統計学的な有意差をもってoutlying点群とnon-outlying点群の数理的に異なる2群が存在し、それらは交互に出現した。outlying点群は、観察期間のなかで3回出現し、持続時間は、8分、2.5分、1.5分であった。以上の成績から、遅くとも妊娠29週には、ヒト胎児の胃の蠕動運動にもウルトラディアンリズムが存在することが分かった。 2.妊娠26週から37週の正常ヒト胎児5例を対象とし、胎児胃の蠕動運動にウルトラディアンリズムが存在するか否か、そしてそのリズムは妊娠の進行にともなってどのように変化するかを明らかにすることを目的とした。妊娠週数を4群(妊娠26-28週、29-31週、32-34週、35-37週)に分割した。各症例毎に、胎児の胃を各妊娠期間に1回、計4回観察した。観察および解析は前述したのと同一の方法である。その結果、妊娠26-28週から35-37週に至る期間で、5例全例において胎児の胃の変形度にウルトラディアンリズムが存在した。また、active periodの全観察時間に占める割合は、妊娠26-28週(29.0±7.2%)から32-34週(51.1±4.8%)まで漸増し、それ以降ではほぼ一定の値を示した。以上の成績から、胎児胃の蠕動運動のウルトラディアンリズムは、遅くとも妊娠34週には機能的に成熟することが分かった。
|