研究課題/領域番号 |
07457390
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小柳 孝司 九州大学, 医学部, 助教授 (30136452)
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研究分担者 |
堀本 直幹 秋田大学, 医学部, 講師 (40243927)
吉里 俊幸 九州大学, 医学部, 助手 (80264034)
月森 清巳 九州大学, 医学部, 講師 (90253450)
佐藤 昌司 九州大学, 医学部, 講師 (00225947)
中野 仁雄 九州大学, 医学部, 教授 (40038766)
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キーワード | ヒト胎児 / 先天性十二指腸閉鎖症 / 超音波電子スキャン / 胃蠕動運動 / 最小二乗メディアン法 / active / quiet phase / ウルトラディアン・リズム |
研究概要 |
先天性十二指腸閉鎖症のヒト胎児(妊娠27-33週)3例をモデルに、胎児胃の蠕動運動に律動が存在するか否かを明らかにすることを目的とした。超音波電子スキャンを用いて、連続する60分間、胃の最大長軸断面を描写し、15秒毎に胃の輪郭線形状および断面積を求めた。胃の輪郭線のくびれの程度を定量化し、stomach complexityと定義した。stomach complexityならびに胃の断面積の経時的な変化の関連について、最小二乗メディアン法と相互相関法を用いて解析した。1.妊娠27、29、31、33週の全妊娠週数において、stomach complexityの計測値は、統計学的に2群に分離された。全観察期間のなかでoutlying点群の占める割合は、妊娠27週で13.3%、29週で30.8%、31週で32.9%、33週で36.3%であった。2.outlying点群のなかで、12回以上outlying点群が連続する期間の占める割合は、妊娠27週で0%、29週で16.2%、31週で86.1%、33週で83.9%であった。3.全妊娠週数において、stomach complexityと胃の断面積との間には、有意な相関は認められなかった(P>0.05)。ここに、十二指腸閉鎖症胎児において、1.胃の蠕動運動には、二つの特性の異なる状態が存在すること、それらは遅くとも妊娠27週には出現し、妊娠29週には顕著になってくること、2.妊娠31週に至れば、outlyingとnon-outlyingの双方が群をなして交互に出現し、各々active phaseおよびquiet phaseの相を形成すること、3.胃の蠕動運動の経時的な変化は、胃の容量の変化とは関連がないことが分かった。妊娠の進行に伴うこれら一連の変化は、胎児胃の蠕動運動に関わるウルトラディアン・リズムの発達過程の発露であるとみなすことができる。
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