研究概要 |
過去2年間は、ヒト子宮内膜におけるKGFmRNAの月経周期に伴う変化,繊毛細胞におけるKGF受容体(KGF-R)mRNAの存在について検討した。 平成9年度は、繊毛細胞に対するKGFの生物学的作用を明らかにするため,ヒト妊娠初期繊毛細胞およびヒト繊毛癌細胞株(Bewo細胞)を用いて,細胞増殖およびhuman chorionic gonadotropin(hCG)産生に及ぼすKGFの効果を検討した。 KGFは、これらの細胞に対して,細胞増殖には有意な影響を及ぼさなかったが,hCG分泌を有意に促進したことより,KGF繊毛細胞に対して,増殖よりも分化を促進する作用のあることが判明した。 すでに、これまでの検討により,ヒト子宮内膜/脱落膜,ヒト繊毛にKGFmhNAの存在が明らかにされている事実を考えると,KGFはautocrineあるいは子宮内膜/脱落膜とのparacrine 機構により,hCGの産生を調節している可能性が示唆された。このことから,KGFが,着床あるいはplacentation,妊娠の維持機構に重要な役割を果たしていることが推測される。
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