研究課題/領域番号 |
07457396
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小松崎 篤 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (50010195)
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研究分担者 |
杉本 太郎 東京医科歯科大学, 医学部, 助手
角田 篤信 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00280983)
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キーワード | 上前庭神経機能 / 下前庭神経機能 / ガルバニックテスト |
研究概要 |
聴神経腫瘍は、本研究者らの長年の研究により、その80%以上が前庭神経のうちでも下前庭神経により由来することが知られている。 そのため、聴神経腫瘍症例の最初の機能障害は下前庭神経の機能であるが、下前庭神経の選択的機能検査は、現在、開発されていない。したがって、聴神経腫瘍の早期診断のうちでも、その機能検査は下前庭神経そのものの検査ではなく、平行して内耳道内を走行する上前庭神経や聴神経の機能検査が行われているのが現状である。これは、これら神経が内耳道という骨組織で囲まれた空間を走行するため、腫瘍が発生して、聴神経や上前庭神経それぞれの圧迫症状である難聴あるいは温度眼振反応を指標していることでもわかる。 一方、前庭神経の体外よりの電気刺激の反応は前記、上前庭神経と下前庭神経の合同刺激と考えられるため、温度眼振所見とこの前庭神経刺激を組み合わせることにより、下前庭神経の機能検査の一助にすることが試みられた。 対象は、手術により確定した聴神経腫瘍症例の内耳道の各神経所見と上記機能検査の所見が対比された。 その結果: 1.内耳道で上・下前庭神経共腫瘍化している症例では、温度眼振反応、電気刺激による体平衡の偏位、1側性の反応低下または無反応であった。 2.温度眼振反応が高度に低下または無反応な症例で、電気眼振反応が比較的保持されている症例では、上前庭神経の選択的障害が示された。 3.温度眼振反応が良好であるにも関わらず電気刺激反応に左右差のみられる症例は、下前庭神経由来の腫瘍が比較的小さく、本神経の機能障害を示す所見と考えられた。 次年度は、これら臨床研究をより一歩進めて、誘発電位の記録を行い、臨床への応用を考える。
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