研究概要 |
1.手術的に摘出した頭頸部悪性腫瘍50例におけるP糖蛋白の有無を、C-219およびJSB-1抗体を用いた免疫組織染色にて研究した。その結果、C-219では54%が、JSB-1では62%が陽性であった。これらの陽性率は従来の報告より高い結果であった。これらの陽性例を、ATP法による抗癌剤感受性試験を用いてアドリアマイシン耐性との相関関係を見た所、有意に相関した。CDDP,5FU,PEPなどは相関しなかった。 2.APT法による抗癌剤感受性試験を頭頸部癌の139例に行ったところ、95%が評価可能であった。感受性陽性薬剤は、5FU(26.5%)>CDDP=CBDCA(24.2%)>MTX(22.9%)>PEP(22.7%)の順であり、口腔、中咽頭癌に感受性が高かった。癌組織内のATP量と薬剤感受性とは相関しなかった。 3.頭頸部悪性腫瘍23例の腫瘍細胞内のグルタチオン量を定量した。扁平上皮癌と甲状腺乳頭癌の2群比較では、前者の方が多くのグルタチオンを含んでいた。扁平上皮癌に限ってみると、細胞内グルタチオンが増加するとCDDP感受性が低下した。 4.癌細胞の温熱感受性を研究するために、癌細胞の生残率をコロニー形成法と癌細胞内ATP消費量で比較検討したところ、両者は良好な相関関係が得られたので、今後はATP量の測定による,個別の温熱感受性試験の迅速化、簡便化が期待できる。 5.甲状腺乳頭癌の臨床例において、温熱療法と免疫賦活剤を併用したところ、腫瘍が著明に縮小したので、甲状腺乳頭癌細胞株を用いて検討したところ、温熱療法がLAK細胞の甲状腺癌細胞の障害性を高めることが明らかになった。
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