研究分担者 |
杉本 千鶴 福井医科大学, 医学附属病院, 助手 (80283183)
都築 秀明 福井医科大学, 医学部附属病院, 助手 (90236927)
野田 一郎 福井医科大学, 医学部, 助手 (60283181)
藤枝 重治 福井医科大学, 医学部附属病院, 講師 (30238539)
大坪 俊雄 福井医科大学, 医学部附属病院, 講師 (10223877)
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研究概要 |
平成7年度:ATP法による抗癌剤感受性試験を頭頚部癌139例に行ったところ、95%が評価可能で、感受性陽性は、5FU(27%)>CDDP=CBDCA>MTX>PEP(23%)の順であったが、残りの約25%は自然耐性であった。耐性の一原因であるP-糖蛋白の発現は約60%にみられ、ADM耐性とは有意に相関した。扁平上皮癌では細胞内グルタチオンが多いとCDDPの感受性が低下した。温熱療法はLAK細胞活性を高める事を明らかにした。 平成8年度:咽頭癌KB細胞を用いて細胞内GSHとCDDP感受性との関係を研究した結果、GSHが減少するとネクローシス優位となり、GSHが増加するとアポトーシス優位となった。CDDPの感受性を規定する、薬剤取り込み、排泄、プラチナ結合、DNA修復を調べた結果、癌細胞株で画一的でなくheterogeneityを示した。アポトーシス誘導関連遺伝子のFas(+),Bcl-2(-)の発現例では抗癌剤感受性陽性が多かった。G-CSFレセプター陽性例ではrG-CSFの投与によって癌細胞浸潤能が増強される事を明らかにした。 平成9年度:多剤耐性遺伝子蛋白のMRPの発現を免疫組織化学的に調べた結果,30%に発現をみた。病期の進行と共にMRPの発現が予想に反して有意に低下したが、T分類、再発、転移、癌死、5年生存率と有意な相関は認められず、MRP発現は頭頚部癌では有用な予後因子とはならなかった。MRPの発現とCDDP,5-FU,PEP,MMC,MTX,ADMの6種の抗癌剤感受性とも有意な相関は無かった。CDDPの効果増強には、PKC阻害剤のH-7の併用や40℃の低温熱が有効であった。CDDPとbcl-2アンチセンスの併用はCDDPの感受性を増大させ、遺伝子療法の可能性を得た。アポトーシス誘導のBaxの発現はstageI,IIの早期癌に多かった。
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