研究概要 |
1.分泌細胞のうち杯細胞の増生モデルとしてラットを用いラット鼻腔に大腸菌由来のエンドトキシンを7日間にわたって連続投与し、鼻中隔粘膜の杯細胞をAB‐PAS染色し検討した.エンドトキシン投与後3〜7日では杯細胞の増生は著明にみとめられた.この杯細胞増生モデルラットの腹腔に抗ラット好中球抗体を投与することにより杯細胞の増生は抑制された。このことより好中球または好中球由来の粘液産生物質が杯細胞の増生に関与しているものと考えられた.そこでラット鼻腔に好中球エラスターゼや好中球遊走因子であるIL‐8を投与したところエンドトキシンと同様の杯細胞の増生がみとめられた. 2.上記のモデルにABPC,CET,EMを腹腔内投与したところ杯細胞の増生の抑制はEMに最も高度にみとめられた. 3.上記モデルにインドメサシンやデキサメサゾンを腹腔内投与したところ杯細胞の増生は著明に抑制された. 4.他の一つの分泌細胞である腺細胞の増生モデルを作製するためにラット鼻腔にエンドトキシンを1ヶ月間および3ヶ月間連日投与し,エンドトキシンの長期投与が腺の増生と肥大をきたすか否かを検討したが,今日の実験条件では腺細胞に有志の変化はみとめられなかった. 5.非アドレナリン,非コリン作動性ニューロペプチドであるSPとNKAをヒト鼻腔に投与し,SPとNKAが分泌細胞とくに腺細胞からの分泌の亢進を示すか否かを検討するとともに,鼻粘膜過敏性に及ぼす影響をみた.その結果SP,NKAともに腺分泌の亢進は示さずSPのみ鼻粘膜の過敏性を亢進した. 6.上皮細胞の培養を行い,杯細胞を含めた分泌細胞の分化と増殖の過程をみてゆく予定である.
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