研究課題/領域番号 |
07457399
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
内藤 泰 京都大学, 医学研究科, 講師 (70217628)
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研究分担者 |
藤木 暢也 京都大学, 医学研究科, 助手 (20271009)
長峯 隆 京都大学, 医学研究科, 助手
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キーワード | 聴覚中枢 / 人工内耳 / 高度難聴 / 発達 / 可塑性 / ポジトロン断層法 / 脳磁図 |
研究概要 |
(1)言語習得後および言語習得前失聴者において人工内耳を介して言語音刺激を行い、15-Oを使用したポジトロン断層法で大脳皮質の聴覚、言語関連領域の賦活状況を観察した。言語習得後失聴者では人工内耳を介した言語音刺激で一次聴覚野、聴覚連合野、運動言語野が賦活され、その程度は正常人に匹敵するものであった。一方、言語習得前失聴者では人工内耳を介した言語音刺激でも聴覚連合野の賦活化が見られなかった。今回の研究により高度難聴によって言語習得過程に外界からの言語音刺激が得られなかった場合には聴覚連合野の語音処理のための神経回路網が殆ど発達しない事が客観的方法によって初めて明らかにされた。 (2)純音及び言語音刺激を正常人、一側高度難聴者及び耳鳴患者に行い、聴覚野の反応を122チャンネル脳磁図計を用いて観察した。一側高度難聴がある場合、正常で見られた反対側の聴覚野の反応の優位性が消失して行く傾向が観察され、耳鳴患者でも聴覚中枢の音への反応性が変化する事が確認された。一側難聴や耳鳴により聴覚中枢における神経回路の再編成が起こり、成人でも中枢神経系に可塑性がある事がわかった。 (3)神経細胞の酸素代謝の主要酵素であるシトクロムオキシダーゼを指標として神経軸索切断の第8脳神経の一次神経機能に及ぼす影響を動物実験で観察した。軸索損傷により一次神経細胞は小型化するが、その代謝は低下しつつもある程度保持される事が明らかになった。また、HRPを用いて一次神経の脳幹への投射を解剖学的に確認する方法を前庭神経で確立した。これらは脳代謝画像、脳磁図で得られた所見の神経細胞レベルでの解釈の基礎データを形成する。
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