新生児用自動血液ポンプを用いたECMO治療に関する臨床的研究

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07457421
• 研究種目: 一般研究(B)
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 伊藤 喬廣 名古屋大学, 医学部, 教授 (10022899)
• 研究分担者: 瀬尾 孝彦 名古屋大学, 医学部, 助手 (60262911)
• キーワード: ECMO / 自動制御 / 血液ポンプ

研究概要

本年度の目標は新たに自動血液駆動装置及びポリウレタン樹脂製の血液室を持った血液ポンプを製作し、それぞれの性能試験を模式循環回路及び動物(幼ぶた)を用いて実施することであった。
1)自動血液駆動装置は11月に完成し、さっそく血液ポンプを接続し、模式循環回路及び動物を用いて試験を行った。流入回路から血液ポンプへ流入する血液の量に対応し駆出量は俊敏に変化した。流入量が極端に減少した場合には拍動回数は減少し、回路内に陰圧の形成は認めなかった。一方、駆動側の抵抗が上昇しても、一定範囲内であれば流入量に見合った駆出量を維持した。駆出側を完全に閉塞し、回路内圧を急速に上昇させると装置は自動的に駆動を停止した。これらの結果は予想通りの自動制御機能であり、製作した自動駆動装置の性能は満足すべきものであった。
2)血液ポンプは2個製作し、性能試験を実施した。性能に大きな製品差は認めなかった。流入・流出弁はうまく作動し、逆流や血液室内に血栓形成は認めなかった。光センサーによる血液ポンプの制動は磁気センサーより格段に優れており、自動、手動操作がより正確かつ容易となった。
3)7年後半にはこのECMO装置の循環系への影響を動物により研究する予定である。

研究成果

• [文献書誌] Takahiko Seo,Takahiro Ito 他: "Experimental study on the hemodynamic effects of veno-arterial extracorporeal membrane oxygenation with an automatically driven blood pump on puppies." Artifical Organs. 15(5). 402-407 (1991)
• [文献書誌] 伊藤喬廣他: "小児用多目的血液ポンプおよび自動駆動装置" 病態生理. 12(7). 530-536 (1993)
• [文献書誌] Takahiro Ito 他: "Clinical application of automatic va-ECMO system using artificial hearts as a blood pump." J Pediatr Surg. 28(6). 817-818 (1993)
• [文献書誌] 梅田隆司、伊藤喬廣他: "新しく試作した新生児用自動制御ECMO装置" 人工臓器. 23(1). 328-331 (1994)
• [文献書誌] Takahiko Seo,Takahiro Ito 他: "A new neonatal extracorporeal membrane oxygenation (ECMO) circuit using a self-regulating blood pump." Surgery. 115(4). 463-472 (1994)
• [文献書誌] Junji Kato,Takahiro Ito他: "Coronary arterial perfusion during venoarterial extracorporeal membrane oxygenation (VA-ECMO)" J.Thorac. Cardiovasc Surg. 111. (1996)