ヒルシュスプルング病類縁疾患に対する消化管神経細胞の分化誘導療法の開発

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07457424
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 京都府立医科大学
• 研究代表者: 岩井 直躬 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (90128695)
• 研究分担者: 下竹 孝志 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (90254341) ; 柳原 潤 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (30158026)
• キーワード: ヒルシュスプルング病 / 神経堤細胞 / 消化管神経叢 / 分化誘導

研究概要

本研究では、突然変異系マウス胎仔を用いて発生期の腸管神経系細胞に対する各神経栄養因子の影響を形態学的に観察する。即ち、消化管壁内神経叢を構成する神経系細胞の発生抑制(分化・誘導)を胎生実験系において試み、発生期腸管原基に対する影響、投与方法の相違(経静脈、経臍帯、drug-delivery systemを用いた経羊水的投与等)による発生形態の変異を明らかにする。これにより、H病類縁疾患に対する消化管神経系細胞の分化誘導療法の可能性を検討する。本年度の研究では培養腸管神経系細胞に対する神経栄養因子の影響を検討すべく,出生直後の新生仔マウスより、消化管粘膜下層を遊離させ筋層間神経叢のみを培養液内にて単離した。この段階で培養液に各神経栄養因子を含有させ、形態変化を観察した。E10〜E18間のマウス胎仔につき実体顕微鏡観察下に消化管壁内神経系細胞を単離し、培養を行った。これらの結果をもとに各神経栄養因子の胎生期投与に対する消化管神経叢の変異の検討を開始した。さらに各発生段階における消化管神経叢の発生と変異を形態学的に観察するとともに、P CR法によりm-RNAを中心とした胎生細胞の遺伝子変異を検索した。

研究成果

• [文献書誌] T. Shimotake, N. Iwai et al.: "Germline mutetions of the RET proto-oncogene in children with total intestinal aganglionosis" Journal of Pediatric Surgery. 32 (in press). (1997)
• [文献書誌] T. Shimotake, N. Iwai et al.: "Germline mutation of the RET proto-oncogene in pedigree with MEN type 2A" Journal of Pediatric Surgery. 31 (6). 779-781 (1996)
• [文献書誌] T. Shimotake, N. Iwai et al.: "Impaired proliferative activity of mesenchymal cells affects the migratory pathway for neural crest cells in the developing gut" Journal of Pediatric Surgery. 30 (3). 445-447 (1995)
• [文献書誌] T. Shimotake, N. Iwai et al.: "Innervation patterns in congenital biliary dilatation" European Journal of Pediatric Surgey. 5 (5). 265-270 (1995)
• [文献書誌] T. Shimotake, N. Iwai et al.: "Successful management of bilateral congenital eventration of the diaphagm" Pediatric Surgery International. 10 (2). 173-174 (1995)
• [文献書誌] 下竹孝志,井上勝裕,久保田良浩,柳原 潤,岩井直躬: "ヒルシュスプルング病類縁疾患におけるcranio-caudalmigration theoryの意義" 小児外科. 28 (9). 1053-1057 (1996)
• [文献書誌] 下竹孝志,岩井直躬: "岡本英三監修Hirschsprung病類縁疾患 病態解明と診断・治療の研究" 永井書店, 226 (1996)
• [文献書誌] 下竹孝志: "阿部達生監修臨床FISHプロトコール 目で見る染色体・遺伝子診断法" 秀潤社, 204 (1997)