研究概要 |
以下の3つの研究計画を立案し、実施した。 1.抗原提示細胞ネットワークの免疫組織化学的、酵素組織化学的検討においては、まずラット切歯・臼歯の歯髄と歯根膜における抗原提示細胞の分布パターンを光顕・電顕レベルでの免疫組織化学の手法で明らかにすることができた。また酸性フォスファターゼの組織化学とClass II MHC抗原の免疫組織化学の二重染色法を用いて、歯髄・歯根膜の抗原提示細胞をマクロファーゼ群と樹状細胞群の2群に大別し、両者の分布パターンの違いを大筋で明らかにした。 2.窩洞形成刺激が歯髄樹状細胞に与える影響の検討に関連して、従来看過されていた窩洞形成後の歯髄樹状細胞の早期反応について詳細な観察を行い、窩洞形成直後から樹状細胞がダイナミックな変化を示し、歯髄修復に重要な役割を果たしている可能性を示唆した。この研究内容はオランダで開催された第5回歯の形態形成と分化に関する国際会議で発表され、内容はConnenc. Tissue. Res.32:303-311,1995に掲載された。研究分担者の大島はこの研究が評価されて平成7年度の歯科基礎医学会賞を授与された。 3.末梢組織における抗原提示細胞と破骨細胞の前駆細胞判別の試みでは、骨吸収系細胞野と骨形成系細胞野が明瞭に区別されることが知られるラット臼歯歯根膜を観察対象として、両部位で抗原提示細胞の分布パターンが大きく異なることを示し、ラット臼歯歯根膜が骨吸収系細胞の分化経路検討するためのモデル実験系として極めて有用であることを示唆した。この実験結果はArch. Histol. Cytol.,58(3):345-355,1955に掲載された。
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