研究課題/領域番号 |
07457429
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
二階 宏昌 広島大学, 歯学部, 教授 (60028735)
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研究分担者 |
宮内 睦美 広島大学, 歯学部, 助手 (50169265)
伊東 博司 広島大学, 歯学部, 助手 (20184682)
小川 郁子 広島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70136092)
高田 隆 広島大学, 歯学部, 助教授 (10154783)
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / IL-1α / 増殖因子 / サイトケラチン / P53遺伝子 |
研究概要 |
口腔領域で最も高頻度に発生する扁平上皮癌の発生・進展・予後に関わると考えられるサイトカインの産生とその受容体の発現、サイトケラチンの発現様式、癌抑制遺伝子の異常などについて検討し、以下の結果を得た。 1.口腔扁平上皮癌細胞株を用い、interleukin(IL)-1αの発現・分泌、細胞増殖への関与とその機構を検討した。その結果、口腔扁平上皮癌細胞株は、IL-1αmRNAを発現し、その蛋白を分泌していることが明らかとなった。さらに、その受容体も発現し、IL-1α処理により濃度依存的に増殖が促進されたことより、IL-1αが自己増殖因子として働いていることが証明された。また、IL-1α処理によりその他のILやEGF受容体、TGF-αおよびamphiregulinの発現が誘導され、サイトカインと各種増殖因子/受容体系遺伝子との相互作用が、IL-1αによる細胞増殖の促進を仲介する可能性が示唆された。 2.臨床材料を用い、高、中および低分子量サイトケラチン(CK)の発現様式と生存期間との関連性を調べた結果、低分子量CK陽性細胞が高頻度で出現する症例の予後が不良であることが示され、低分子量CKの発現様式が腫瘍の分化度とは関連しない、独立した予後因子となる可能性が考えられた。 3.扁平上皮癌発生のどの段階で癌抑制遺伝子に異常が生じるのかを明らかにするため、前癌病変であるepithelial dysplasiaと後に同一部位に発生した扁平上皮癌を対象に、p53蛋白の蓄積を免疫組織化学的に調べ、遺伝子異常の指標とした結果、癌細胞がp53蛋白陽性であった全症例において、すでにepithelial dysplasiaの段階で蛋白の蓄積がみられたことより、口腔扁平上皮癌では発癌の早期の段階でp53遺伝子に異常をきたし、その異常が後に発生した癌にも引継がれている可能性が考えられた。
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