研究課題/領域番号 |
07457433
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
柳澤 孝彰 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (10096513)
|
研究分担者 |
東田 久子 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (80085828)
見明 康雄 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00157421)
|
キーワード | フッ素(フッ化ナトリウム) / フッ素症歯 / 琺瑯質(エナメル質) / 顕微X線法 / 光学顕微鏡 / 高分解能電子顕微鏡 |
研究概要 |
本研究を遂行するにあたって、ラットに0.044%フッ化ナトリウム(200ppm)水溶液を飲料水として10週間与え、まずフッ素症歯を形成した。次いで、2.5%グルタールアルデヒド・2.0%パラホルムアルデヒド混合液で潅流固定を施した後、上下顎切歯(試料)を採取した。採取した切歯は非脱灰のままポリエステル樹脂に包埋の後、厚さ50μmの研磨標本としてそのマイクロラジオグラム(CMR)を作製し、研磨標本とCMRの両者を光学顕微鏡で比較観察した。その結果、成熟期の初期から切端にいたるまでの琺瑯質は、その表層側1/3に幅広い高石灰化層が形成され、その下方に低石灰化層を伴っていた。これら光学顕微鏡的所見は、これまでに本研究代表者らが行ってきたヒトフッ素症歯琺瑯質と同様の所見を示すところから、これがフッ素中毒に陥っている(フッ素症歯となっている)ことを裏付けた。なお、石灰化度の相違を示すこのような変化は、特に萌出直前の部分に顕著で、萌出後はその程度差を減じていくものの、切端に至っても、表層直下の琺瑯質は低石灰化層として明瞭に識別される。 以上の観察を終えてから、研磨標本を二分して、一方をX線元素分析ならびにX線回析用試料とし、他方をサンドイッチ法によりエポキシ樹脂に再包理の後、結晶c軸を横断する超薄切片として高分解能電子顕微鏡で観察した。本年度は個々の結晶解析のための指標となるfluoridated hudroxyapatiteのデータ獲得を主として為、それ以上は予備的観察の域を出なかったが、その概要を以下の述べる。まず、表層の高石灰化層であるが、この部分の結晶は対照のそれより幅、厚さともに大きく、また結晶間際も狭いが、低石灰化層では、逆に結晶が小さく、かつ微小な未石灰化領域も所々に観察された。
|